日本人の美意識

日本人の桜の花の愛し方は実に変わっている。世界の人は普通、満開の花を愛するものであるが、日本人は散り際の桜をこそ最も愛するからである。


それは諸行無常への愛である。一つの生を生き切った花を見送ると同時に、それは新しい芽吹きへの予感を伴っている。

それは死と生と常に変化し続ける世界をそのまま認める態度である。だから散り際は切なくはあっても悲しくはない、むしろ愛おしい。

 

同様に、日本人は未完成なもの、左右非対称な歪んだものを愛する(茶道の歪んだ茶器や左右非対称が基本の生け花のように)。

それは「世界には意味がある、完成形がある」という目的論への強烈なアンチテーゼである。

現実をきれいに整理整頓して大きな意味をもって見ようとする欲望は世界中にあるが、この欲望はあるがままの現実を直視できない弱さでもある。


この生々流転の現実をそのまま受け入れて愛でる、そういう愛し方ができる日本は素敵だと思う。