カフカの「断食芸人」

帰りに車で姉を送って行って、そこでカフカの「断食芸人」の話になった。

断食芸人 - Wikipedia

 

この断食芸人こそは芸術家である。

まったく無意味な行為であり、誰からも理解されない自己満足であろうと成し遂げるのが芸術家であり、まさにこの断食芸人は芸術家である

 

さらにこの断食芸人は幸福な芸術家である。

他の断食芸人たちは、やれ何日断食したと声高にアピールするが、この断食芸人はそんな主張はしない。たとえ周りからバカにされようと、不敵にニヤリと笑うだけである。

 

他の断食芸人たちはおそらくどこかで隠れて食事を取っているから、インチキをごまかすために断食主張するのだろうが、彼にはそんな主張は必要ない。

 

彼は己の断食を証明する最高の方法を知っている。それは本物の断食芸の完成、これ以上ない断食の最高傑作により証明される。そして自分がそれに到達できる確信があるのである。

 

そう、これ以上ない断食の最高傑作とは、

断食によって餓死した彼自身の姿である。

餓死してしまえば、その断食が本物であったことの何よりの証明となる。

 

再び言うが、この断食芸人は幸福な芸術家である。

 

世の芸術家たちは、これ以上ない自分の最高傑作を知っているだろうか?

もしもっと時間があれば、資金があれば、もっとすごい傑作ができるのにと無念に思いながら死んだ芸術家たちがほとんどではないだろうか。

 

また、生きているうちにこれ以上ない自分の最高傑作と巡り合ってしまった芸術家も悲惨である。彼の残りの人生は消化試合になってしまうからだ。

 

そうして考えると、餓死という最高傑作を見据えて生き、その人生の終焉と最高傑作の完成を同時に迎えたこの断食芸人は、やはり幸福者であろう。

 

 

そうしたことを姉とつらつら話した。姉も頭がオカシイ宇宙人なのでこういう話が大好きである。