分割商法の何が悪い?

コミックスは1巻、2巻と普通に刊行されて受け入れられるのに、ゲームが同じことをやると分割商法と批判される。

 

コンテンツを小出しにしていくのは、製作費をこまめに回収し、作品展開に柔軟性を与えるために必要な戦略である。ようするに少年誌漫画のように、売れなかったら10週打ち切りとかで損害を最小限に抑えることができるのだ。

しかしゲームで同じことをやると分割商法だと言われて批判される。これは厳しい。分割しないでそれなりのボリュームを持たせると、リスクの高い大作になってしまうからだ。

 

これに対する答えは映画業界にあるのではないかと思う。映画もかつて大作化が進み、いくつもの名門映画会社がたった1作コケただけで潰れていった。映画業界はこの反省により、いくつものリスク分散システムを生み出していった。

 

そうした中でも注目は、現在のアマゾンの映像コンテンツ戦略である。

アマゾンはドラマ制作において、13作品の90秒程度のパイロット版を作り、投票によって13作品の中からどれを本放送にするのかを決めていった。まんま、少年誌が読み切りを多数掲載して、投票制度によってその中から連載作を決めるのと同じやり方だ。

パイロット版なら製作費もごく安いし、受けが悪くても簡単に捨てることができる。そして多作品のパイロット版を作ることでより「売れる作品」を見極めやすい。実に合理的で、ゲーム業界も見習う必要のあるシステムだ。

 

さらにアマゾンはアマゾンプライムという戦略で、さらに効率的なリスク分散を図っている。視聴者は実に様々な好みを持ち、どんな高評価作品でも嫌いな人もいる。これに対し、1作品だけで応えるというのは当然リスクが高い方法だ。しかし、それが数千、数万作品であれば、リスクは大幅に分散できる。ようするに数うちゃ当たる式でどれかが視聴者に訴えてくれる。

さらにそれが過去の映像資産であれば無駄にならない使い回しができる。そうして1作品に対する課金ではなく、無数の作品に対する月額課金という方式に転換しているのだ。

 

ようするにアマゾンは1作品、1大作に頼る高リスク戦略とは正反対の、無数の作品を小出しにしていく大群戦略によって現在成功を収めつつあるのである。これは漫画業界やゲーム業界の未来を指し示しているのかもしれない。