人造美女を賭けて鬼とバックギャモンをする1000年前の想像力

長谷雄草紙 - Wikipedia

平安期の文章と言えば源氏物語のような恋愛モノや、ブログ的な随筆である枕草子など、思ったよりも現代の感覚で理解しやすいものが多い。

しかし一方、現代のSFの先駆けともいえるようなぶっ飛んだ意味不明の奇譚も意外に存在するのである。それが今回紹介する長谷雄草紙(はせおぞうし)。

 

これはフランケンシュタインのように人工的に作られた美女を賭けて、鬼とバックギャモンで勝負するという、なんとも奇妙奇天烈で想像力の塊のような作品である。

1000年も前の作品でありながら、そこには科学的な夢(人工的に素晴らしい人間を作れるはずという考え)もあれば、鬼という魅力的な異形との息詰まる勝負のエンターテイメント性(当時の鬼は話の通じないモンスターではなく、未知の技術も持てば笛もたしなみ、人間と対話や賭け事もする存在であった)もあり、そこに当時の人々の日常を超えた世界への恐れと憧れ、想像力を見ることができる。

 

翻って現代は様々な技術が発展しているはずなのに、人々は目先の損得や誰それが好き嫌いといったせせこましいことばかり考えている。現代のブログのたぐいを見れば損得の話(政治経済含む)、恋愛やしょうもない対人関係の話が99%じゃなかろうか。そういうのもまあ悪いとは言わないが、俺はそれよりも未知の世界に心躍らせるような想像力の塊を見てみたい。